看護師×訪問

訪問看護を辞めたくなる8つの理由を考えてみた。乗り越えるor別の道?

「患者さんにじっくり向き合える看護がしたい」

憧れだった訪問看護。だったはずが……

「訪問看護師」を続けていくのも結構しんどいなと感じることはありませんか?

現役訪問看護師として働く私も、仕事でモヤモヤしたり、つらいと思うことはよくあります。

今回の記事では

  • 訪問看護師の仕事を辞めたくなるのはどんな時?
  • 訪問看護の魅力を見直してみよう
  • 辞めたいと思ったときにやるべきことは?
  • 辞めた後の道を考えてみよう

このような内容について書いています。

 

  • 訪問看護の仕事がつらいと感じている
  • 訪問看護の仕事を続けるべきか、辞めるか迷っている
  • 訪問看護を辞めた後、どうしたらよいかわからない

このような方はぜひ読んでみてください。

訪問看護ステーションの人手不足は業界トップという現実

公益社団法人日本看護協会の調査によると、病院や介護施設といった施設種別の中で【訪問看護ステーション】は2016年度以降、もっとも求人倍率が高く、看護師不足トップとなっています。

求人倍率とは、仕事を探している人、1人に対し、何件の求人があるのかを示すものです。
簡単に言えば、求人倍率が高いほど、人手不足。求人倍率が低いほど採用されにくい(ライバルが多い)ということです。

訪問看護ステーションの求人の状況をみると、求人数、求人施設数、求職者数いずれ
も増加傾向にあります。また、求人倍率は2019年度の3.10倍に対し、2016年度は3.69
倍、2017年度は3.78倍、2018年度は2.91倍と高水準をキープしているんです。

訪問看護師のニーズが高まっている一方で、多くの訪問看護ステーションが「スタッフが集まらない」「定着しない」という課題を抱えています。

参考:2019年度 「ナースセンター登録データに基づく看護職の 求職・求人・就職に関する分析」 結果

訪問看護を辞めたくなる8つの理由

ここからは、訪問看護師が「辞めたい…」と感じる場面・理由について考えてみます。

①病院と在宅のギャップに悩む

病院から在宅へと働く環境を変えたほとんどの看護師が壁にぶち当たります。
それが、病院と在宅のギャップです。

入院中は、規則に従って療養生活を送っていた患者も、自宅に戻ればマイルールで自由気ままに生活していますよね。
指導的な立場はNGです。
あくまでもアドバイスをするという姿勢が基本になります。

病院で叩き込まれてきた清潔不潔の区別は通用しませんし、残念ながら十分な衛生材料もありません。

お宅ごとにルールがあり、気を遣う場面が多いため「病院の方が気がラクだった」と感じる場合もあるでしょう。

私も病院にいるときはコストなんて一切気にしてなかったですが、訪問看護師になってからは、手袋はもちろん、ティッシュ一枚まで節約して使っています。

②残業・オンコールがつらい

「訪問看護を辞めたい」と感じる理由の中には「残業が多い」「オンコールがつらい」といった労働条件に関連する内容があります。

看護師の仕事の特性上、利用者さんの体調変化によって、臨時での訪問が必要となるなど、すべてがスケジュール通りとはいきません。場合によっては残業が発生したり、休憩が取れない場合もあるでしょう。

また、オンコールはいつ・誰から・どのような連絡が入るかわからない」というドキドキ感があります。はじめましての状態で、難しい判断を迫られることもあるわけです。

  • 状態が変化しやすい 
  • 症状のコントロールが難しい
  • お看取りが近いと予測される 
  • 本人・家族の不安が強い 

このように、一晩に何度も連絡が入ることもあり、オンコール特有の緊張感や負担感は大きいですよね。

③自分の力不足を痛感する

訪問看護をしていて、自分の力不足を感じる場面はたくさんあります。そのたびに、自信を失ってしまう方もいるでしょう。

訪問看護の対象となる利用者さんは、診療科も年齢層も非常に幅広いです。既往歴の欄に書ききれないほどの持病を持った方もいますし、日々勉強です。

特に新卒や経験年数が浅いうちに、訪問看護師となった場合には、もう少し臨床経験を積んでから在宅にチャレンジすれば良かった…と後悔する方もいるかもしれませんね。

④プレッシャーがつらい

訪問看護において感じるプレッシャーは大きく2つに分かれると思います。

1つは頼りにされるがゆえのプレッシャー。もう一つは、自宅という看護師にとってアウェーな環境に足を踏み入れ、一人きりでサービスを提供するというプレッシャーです。

訪問看護は利用者さんやその家族と深く・じっくり関われるのが最大のやりがいとも言えますが、頼られれば頼られるほど、

「私は、期待に応えられているだろうか……」
「本当にこの判断でよかっただろうか……」

 

このように、悩んでしまう場面は多いものです。

⑤交通事故・恐怖体験

訪問看護は移動を伴うため、交通事故のリスクがあることを忘れてはいけません。

自分がいくら安全運転を心がけていても、事故に遭う確率をゼロにはできません。

実際、事故を起こしてしまったショックで訪問看護の仕事を辞めてしまう方もいます。

また、訪問中は密室状態になりやすいという特徴があり、利用者さんや家族からのセクハラやパワハラ被害をきっかけに、訪問するのが怖くなってしまうケースもあります。

⑥お看取りがつらい

数年、数十年といった長い期間、関わらせて頂くことも多い訪問看護。

関わりが深い分、お看取りの時はつらいです。

自宅で最期を迎えたいというニーズも高まっており、ガン末期、ターミナル期の訪問依頼は増加しています。

全員が満足いく看取りとなればいいのですが、中には後悔の残る最期となることもあります。命にかかわる看護師の仕事は、非常に尊いものですが、ものすごくエネルギーがいります。

⑦仕事とプライベートの切り替えが難しい

訪問看護は、病院で働く看護師に比べ、オン・オフの切り替えが難しいように感じます。

私が、病棟看護師だった時は「病院を出たら患者さんのことは考えない」というスタンスでした。

しかし、訪問看護師として働き始めてからは、家でお風呂に入っている時、料理をしながら「Aさん、大丈夫だったかな……」なんて、考えてしまうんですよね。

近年、訪問看護の分野においても、ICT(情報通信技術)が急速に普及し、自宅にいてもスマホやipadなどのタブレット端末を使って、外部の他職種と情報共有ができるようになりました。

ICT化は、リモートで申し送りやミーティングが可能になるなど大きなメリットがあります。しかし、一方で訪問看護師にとって、プライベートと仕事の切り替えを少し難しくしているような気がしています。

⑧その他

「訪問看護師を辞めたい」と感じる理由には、以下のような内容も考えられるでしょう。

  • 制度が複雑でよくわからない
  • 書類仕事が多い
  • 多職種間での連携が苦手
  • 不衛生な環境が無理
  • 面白味を感じない

訪問看護は、医療の知識や看護のスキルだけでなく、介護・福祉分野の知識も求められます。

看護師の業務は、「療養上の世話」と「診療の補助」ですが、訪問看護でメインとなるのは「療養上の世話」です。

病院と比較すると、採血や点滴などの医療的処置を行う頻度はグッと低くなります。

そのため、医療処置に関するスキル低下に不安を感じ、病院に戻る選択をされる方もいます。

色々悩みはあるけど、訪問看護を辞められない理由

色々な悩みはあれど「やっぱり在宅が好き!」「訪問看護を辞められない」という人も多いのではないでしょうか。

ここでは、訪問看護の魅力をもう一度みつめなおしてみることにしましょう。

人間関係がラク

訪問看護は、基本的に一人で利用者さんのお宅を訪問します。

チーム制で動く病棟などの職場と比べると、スタッフ間でのストレスは少ない傾向があります。

また、訪問看護師には

  • 相手の気持ちを尊重する 
  • 話を途中で遮らずに最後まで聞く
  • 相手を理解しようと努力する 

このような看護師が多いように感じます。(私の周りだけかもしれませんが(;’∀’))

あとは、熱意のあるスタッフも多いですね。

病院だと各病棟に1人や2人は必ずいる、周囲のモチベーションを下げる看護師はあまりいないと思います。

また、訪問さえしっかりこなしていれば、休憩時間の過ごし方も自由なので、一人が好きな人には魅力的な仕事です。

利用者さんとじっくり関わることができる

訪問看護の最大の魅力が「じっくり利用者さんと関わることができる」こと。

看護師にとって、在宅ほど個別性を考えた看護ができる職場は他にないと思います。

話をじっくり聴いて、相手の望みを叶えるために試行錯誤し、お手伝いができる。
とてもやりがいを感じられる仕事です。

自分の看護が実践できる

病院では、病院のルールに従い看護業務を遂行するのが看護師の主な仕事でした。
看護をしているというより、業務をこなしているという感覚。

しかし、在宅において、ルールはその家庭や利用者さん・家族の考え方によって変わります。

相手の希望に合わせて使う物品、ケアの手順や方法も選択できます。
想像力・創造力を駆使したクリエイティブな部分に魅力を感じている訪問看護師はきっと多いはず。

辞めたくても人手不足で辞められない

冒頭でも述べましたが、訪問看護の分野は、業界NO1の人手不足です。
訪問看護ステーションの廃業理由のうち、大部分を占めているのが「人材不足」。それだけスタッフ確保に苦労するステーションが多いということですね。

「今、辞められると困る」と引き留められたり、「利用さんに迷惑がかかってしまうかも…」と思うと、なかなか辞められないという方いらっしゃるかもしれません。

勤務条件が魅力的

訪問看護ステーションは、基本的に土日祝日休みで、夜勤はありません(オンコール担当はありますが)。残業も病院に比べれば少なく、夜勤なしで働ける職場としては給与水準が高めです。

子どもが小さいうちは、週3で午前中2件だけ。  小学校に上がったら、週4で午後にもう1件増やそうかな……

このように、ライフステージによって勤務スタイルを柔軟に変えられるのも、訪問看護の大きな魅力ですね。

訪問看護の仕事を辞めたいと思ったときにやるべきこと

辞めたいのは今のステーション?それとも訪問看護?

辞めたいのは今の職場?それとも訪問看護そのもの?

この2つのうち、あなたの気持ちはどちらなのか、しっかり見極める必要があるでしょう。

「訪問の仕事は好きで続けたいけれど、今のステーションが嫌」という場合には、訪問看護師を辞めてしまうのはもったいないですよね。

ステーションが変われば、いきいきと働ける可能性がありますので、新しい環境でもう一度、訪問看護師として働くことをおすすめします。

仕事への向き合い方を考えてみる

「帰宅してからも、休みの日も、利用者さんのことが頭から離れない」
「自分の判断が正しかったのだろうかと不安でしょうがない」

このような状況が続くと仕事を続けていくのがしんどくなってしまいます。

休日は仕事から離れて、没頭できるような趣味に時間を使いましょう。

勉強で自信をつける

  • 知識が足りなくて不安。
  • 自分の判断が正しいのか不安。
  • 自信がなくて、具体的なアドバイスができない。

このような課題を乗り越えるには、やはり勉強して自信をつけるしかありません。

病院や医療機器メーカー、学会の勉強会や講習会など、リモートで参加できる勉強会が増えたため、自宅から気軽に参加できます。

YouTubeでも、有益な情報を発信しているチャンネルがたくさんありますよ。

別の職場に転職する

「訪問看護自体に疲れてしまった」
「そもそも在宅が合わない」

という場合には、無理せずに転職するのが良いでしょう。

どのような道に進んだとしても、訪問看護での経験が無駄になることはありません。

訪問看護を辞めた後どうする?4つの選択肢

①別の訪問看護ステーションへの転職

訪問看護師の仕事自体は好き。しかし「管理者と合わない」「労働条件が悪い」などの理由で、今の訪問看護ステーションを辞めたいという人もいるでしょう。

  • 先輩や上司が嫌い・合わない
  • 給料が安い・ボーナスが出ない
  • 訪問スケジュールがきつい
  • オンコールがきつい

このように環境を変えることで解決できる可能性の高い悩みであれば、思い切って別のステーションへの転職を考えるのが良いでしょう。

訪問看護ステーションの選び方 失敗しない9つのポイント訪問看護ステーションの数、訪問看護利用者数は年々増加しており、今後も増加していくことが予測されます。 次々に新しい訪問看護ステーシ...

総合病院・大学病院

在宅を経験してみると「やっぱり病院の方が働きやすい」「もう一度病院で働きたい」という気持ちが湧いてくることも。

大きな病院であれば、幅広い診療科の知識を得られますし、スキルアップも臨めます。福利厚生も充実していることから、安心して長く働き続けられるというメリットもありますね。

平成30年衛生行政報告例によると、訪問看護ステーションで働く看護師のスタッフの割合は全体の4.0%とされ、まだまだ、少数であることがわかります。

つまり、病院にとって、訪問看護経験のある看護師は貴重な存在。
在宅分野で培った知識や技術を活かして、地域包括ケア病棟や地域連携室、退院支援ナースとして活躍が期待されるでしょう。

クリニック

ワークライフバランス重視型の方には、日勤のみで働けるクリニックが人気です。

働きやすさは、院長の性格やスタッフ同士の人間関係に左右されますが、良い職場に巡り合えれば、精神的なプレッシャーも少なく働ける職場です。

介護施設

介護施設には、デイサービス、老人保健施設、特別養護老人ホームなど様々な施設があります。

在宅で磨いた、アセスメント技術、介護分野の知識などの経験を活かせる職場です。施設によっては看護スタッフの配置や利用者の介護度・重症度が異なるため、情報収集はしっかりと行いましょう。

まとめ

訪問看護は、利用者さんや家族の不安や悩みに寄り添い、伴走する仕事。
やりがいもありますが、その分、精神的なプレッシャーも大きいですよね。

性格的に合う合わないもありますし、負担が大きすぎるようであれば、一旦、訪問看護から離れてみるのもアリだと思います。

訪問看護ステーションにおける求人倍率の高さは、今後も続きます。
「やっぱり、在宅がいいな」と感じたら、再チャレンジすることも可能です。

 

ABOUT ME
komaten
看護師始めて、かれこれ10年。 今はゆったりと訪問看護やってます。