看護師×訪問

訪問看護の感染対策はゆるい?病院と違いすぎて衝撃…(新型コロナ前の状況)

こんにちは、こまてんです♪

今回は病院で働いてきた私が、訪問看護師に転職した時に衝撃を受けた「感染対策」について書いていきたいと思います。


「病院での看護」と「在宅での看護」では、対象となる患者さん、利用者さんの免疫力やケア提供にかかわる人、病原体伝播のリスクなどが異なり、感染対策のレベルにも違いがあります。

それは理解していても…
病院で働いてきた私にとって、在宅での感染対策の実際はかなり衝撃的なものでした。

驚いた表情

私が訪問看護師になったのは、3年前。
その頃はマスクをせずに訪問していました。
新型コロナウイルス感染が猛威を振う今では考えられませんが…

現在では常時マスク着用、在宅の現場ではほとんどお目にかかることもなかったフェイスシールドも手作りして吸引や口腔ケアの際に着用できるようになりました。(もちろん使い捨てではない)

今回の内容は、新型コロナウイルス感染が問題になる前の訪問看護における感染対策について、病院と違いすぎて衝撃だったことを書いています。

これから訪問看護に携わろうと考えている方、ちょっと興味があるけど実際はどんな感じ?と疑問をお持ちの方、訪問看護師になって私と同様、衝撃を受けた方などなどに読んでいただけたら嬉しいです^^

感染対策の違いに戸惑う

訪問看護師に転職した場合、勤務先によって感染対策の内容は多少異なると思いますが、基本的に病院と比較すると、かなり緩い。
そのレベルの違いに、はじめは戸惑います。

私自身も転職して間もない頃、「これ、病院だったら絶対NGだよね・・」と戸惑ったのを覚えています。しばらくは「私はこれからここで働くんだ!慣れなくちゃ!」と努力が必要です。時間が経つにつれて徐々に慣れてきましたが、今でもこうした方が本当はいいんだけどな…ともやもやすることは未だにあります。

在宅ケアにおける感染予防の特徴

病院と違って他の患者さんがいない
在宅では病院と違って他の患者さんがいないので、病原体の伝播するリスクは、医療施設よりも低いと考えられます。

医療行為やケアを行う人が限定されている
病院では多くのスタッフがケアにあたりますが、在宅でケアを行うのは主に介護する家族。医療処置を行うのは訪問医や訪問看護師とある程度限定されています。

流行性の感染症にかかるリスクがある
家族を含む在宅ケア提供者は、地域で普通に生活しているので、インフルエンザや感染性胃腸炎など流行性の感染症を利用者さんへ伝播させてしまうリスクが常にあります。
また、病院では感染症の持ち込まれるリスクを考慮し、小さなお子さんの面会をお断りしているところも多いですが、在宅ではお孫さんなど小さな子どもとの接触機会もあり、そこから感染することもあります。

病院では使い捨てが基本の物品も再使用することが多い
吸引チューブや間欠的導尿カテーテルなど病院では使い捨てが基本ですが、在宅では経済的な理由から消毒して再使用しています。

在宅での感染対策の難しいところ

知識レベル、価値観、理解度がさまざま
基本的に専門用語を使わず、一般の方でも理解できる言葉で説明するようにしています。中には認知機能低下により、なかなか話が伝わらないなど難しいケースもあり、理解が得られないことも…
私たちは感染対策で当たり前のようにマスク、手袋などの防護具を使用しますが、人によっては¨ばい菌扱い¨されていると感じる可能性もあり、誤解されないように丁寧に説明していく姿勢が必要です。

相手に強要できない
在宅医療の現場では多くの場合、私たちに決定権はありません。
アドバイスはできますが、どうするか最終的に決定するのはご本人、ご家族です。
部屋がゴミだらけ、ほこりだらけなど療養環境が不衛生でも、勝手に掃除をしたり片付けることはできません。

経済的な負担を考慮する必要がある
病院勤務時代もコストを意識して仕事をしましょうと言われていましたが、正直大して気にしてなかったです。
訪問看護師になってからは、お宅にあるものを使わせていただくことが多いので、どれくらいコストがかかっているか、経済状況は大丈夫だろうか?などが気になり、手袋にしても一枚も無駄にしない精神でケアしています。

スタッフごとに考え方が違う
今までの経験や受けてきた教育によってスタッフの知識レベルや感染対策に対する考え方って違います。ある日、先輩に同行した際に、手袋を装着したまま手洗いしていて、それOKなの!?とびっくりしたことがありました。

感染対策をチェックする人がいない
訪問は基本一人で行います。
病院ではおむつ交換にをペアで行ったり、他スタッフの目がいつもありました。訪問看護は基本一人。他者の目がないので、どうしても適当になってしまったり、気のゆるみが出てしまいがち。間違っていても注意してくれる人がいません。きちんと感染対策がとれているのか正しい知識を身に着け、自分自身でチェックしなければいけません。

どこまでが清潔で、どこが不潔なのか…

手術室では、滅菌物は清潔。それ以外は不潔というはっきりと区別されます。

病棟では床は不潔。「荷物は床に置かないでください」と何度患者さん、家族に注意したことか…
そして、手洗い、消毒した手でどこかに触れた瞬間、不潔になります。何かに触れるたびに手指消毒していました。

家庭では?

悩む

在宅の現場では、なにが清潔でなにが不潔?どこまでのレベルを求めればいいのでしょう?
普通に正座して記録することもありますし、バックも置かせていただきます。でも、その床清潔かと聞かれると「清潔です!」とは言えないですよね。

人によってどう感じるかも個人差があります。
病院だったら、汚い思ったら自分で拭く、掃除を依頼することができますよね。
でも、在宅ではできないんです。

おうちで暮らしている人が「これでいいんだ」と感じていれば、環境を変えることは難しいです…

在宅での感染予防対策は病院に比べると非常に緩いし、個人任せなところがあります。
この状況に慣れてしまっている今、もしも再び病院で働くことがあったら相当苦労するだろうなと感じています。

大切なのは基本

じゃあどうすればいいのさ…

大切なのは、そう!
「感染をさせない、しない、広げない」

そのために大切な、感染対策の基本は標準予防策(スタンダードプリコーション)。

スタンダードプリコーションとは?

スタンダードプリコーション(標準予防策)については病院だけでなく、在宅や介護施設などの現場でも基本的な対応方法として推奨されています。

スタンダードプリコーションの基本理念は「すべての患者の血液・体液・排泄物は感染源になる可能性があるものとして取り扱う」
つまり、「元気そうに見えても誰もが病原体をもってると思って関わりなさいよ!」ということ。

手指衛生の基本

目に見える汚れが手についているとき→流水と石鹸で洗う
目に見える汚れなし→アルコール消毒

手指消毒の5つのタイミング1. 患者に触れる前
2. 清潔・無菌操作の前
3.体液に曝露された可能性のある場合
4.患者に触れた後
5.患者周囲の物品に触れた後

実際の現場ではどうなのか?

わかってはいるけど、実際にやろうと思うと結構難しい。

契約の時点で洗面所使用の許可を頂き、液体せっけんと手を拭くためのペーパータオルやティッシュなど(使い捨てできるもの)の準備をお願いしています。

まず訪問したら、すぐに洗面所で手洗いをさせてもらいます。
普段の手洗いは基本的に訪問時の一回だけ。(途中で必要があれば許可を得て手洗いはできます)
今は新型コロナウイルスの関係で、退出時にも手を洗わせてもらうようにしています。

病院ではどこかに触れるたび、腰にぶら下げたアルコールジェルをピュっとして手にすり込む→乾かす、と手指消毒を徹底していましたが在宅ではそれほど頻回に手指消毒はしていません。

私の勤務する事業所では携帯スプレーボトル入りの消毒用アルコールがスタッフ全員に支給されています。そのままでは腰にぶら下げてプッシュ!スタイルでは使用できず、一回一回ボトルを握ってシュッシュしなければいけません。結構手間ですよね。

病院では手袋を外した後にも手洗いしていましたが、在宅では手袋を外した手はほぼ手を洗いません。(目に見える汚れが付着している、明らかに手を汚染してしまったという場合には速やかに洗面所をお借りしますが)

ご家庭によって洗面所の場所は違いますし、無断で使うのはマナー違反。毎回「すいませーん!洗面所お借りします!」と許可を得て、洗面所まで移動する時間ロスと労力を要します。

手洗いが気軽にできない環境でも、手指消毒ならできます。常に手の届く場所に出しておきたいところですが、利用者さんのお宅に忘れていってしまう心配もあるんですよね。
ホルダー付きなら、ベルト通しに引っ掛けたり、バックに引っ掛けたりできるので便利です。

手袋を好きなだけ使えない

使い捨て手袋病院では「1枚いくら」などと考えたこともなく、一処置ごとにどんどん手袋交換してました。
なんでも使い捨てでしたから、ゴミの量が半端じゃなかったです。
病院では、それが当たり前だし、感染予防対策のために徹底していました。

私の勤務する訪問看護ステーションでは、日常的に手袋を使用する処置が必要な利用者さんに関しては手袋を購入して頂き、その手袋を使用しています。

在宅では経済的な負担を考え、手袋の消費をできる限り少なくというするようにいつも心がけています。途中で手袋を変えずに済むようにケアの順番を考え、出るゴミもできる限り少なく、コンパクトにまとめます。

病院では「手袋の2枚重ね」絶対NGでした。
しかし、在宅では当たり前のように行われています。

感染対策で考えれば望ましくないです。しかし、家庭で準備していただく手袋は物によっては破れやすいものだったり、品質が一定でないので少しでも汚染を防ぎたいという気持ちと効率化を考えて、場合によっては2枚重ねで使用しています。

補足説明:なぜ手袋の2枚重ねがNGなのか?
ディスポ手袋には製造過程で目に見えない小さな穴(ピンホール)が開いてしまうことがあります。目には見えないため、どの手袋にピンホールが開いているかわかりません。
では、手袋を2重に装着して、便処置をしたと考えてみましょう。目に見えないピンホールから病原体などが内側の手袋へと汚染が拡大してしまいます。このように気づかないうちに汚染してしまっている内側の手袋を清潔なものとしていろいろなところを触ってしまった結果、感染源をそこら中に広げてしまいます。このような理由から2枚重ねはNGなのですね。

普段マスクつけない

マスク(新型コロナウイルス感染拡大の影響で今は必須です)
私が一番「えっ!?」と衝撃だったことです。
もともと看護師って患者さんに接近することが多いですよね。
耳が遠い方も多いのでもう距離が近い近い。しかも、どうしたって大声になってしまいます。


完全に飛沫浴びてるね、そして私も浴びせてるよね。ってくらい近くで会話したりします。

病院では休憩以外、常にマスク着用。ちょっとずらそうもんなら先輩の厳しい視線が・・・
そんな感覚で育ってきたので、訪問看護に転職してすぐは「えー!!マスクつけないんかい!?」って思っていました。

標準予防策の基本的な考えに基づいて私はマスクをつけるべきだと思うし、つけたいです。感染しないためにも、させないためにも必要なものだと思います。

在宅では飛沫感染の問題だけでなく、ハウスダストなど環境による視点でもマスクをしたい!と思うことが多々あります。

病院のようにシーツ交換が定期的に行われているわけもなく、お宅によっては「はて、もうどれくらいシーツ交換されてないのでしょうか???」というお宅もあるわけで
少し布団を動かそうものなら「ふぁっさー!」と白い粉が舞うわけです。
(チリやほこりや落屑やその他いろいろMIXされたもの)

こういう時、私は息止めます。移動して空気を吸います。
あまり効果はないかもしれませんが…( ;∀;)

今ではつけていて当たり前のマスクですが、新型コロナウイルスが問題になる前は、ほぼノーマスクで訪問をしていました。

マスクをつけなかった理由として考えられること(コロナ前)

●表情が分かりづらい(コミュニケーションで不利に感じる)
●難聴の利用者さんに話が通じない
●いかにも医療従事者っぽくて親しみが持てない
●邪魔、息苦しい
●利用者さん側が「なんでつけてるの?」と疑問に感じる
●事業所のマスクを使うことに遠慮してしまう
●他のスタッフがつけていないから

これらはあくまでも私の想像ですが…

在宅では咳、くしゃみ、鼻水など風邪症状のある利用者さんでもご本人たちが気にしなければ基本的にマスクはつけてもらえません。(もちろん強制もできません)自分の家ですものね。。。

そんな時、感染のリスクにさらされているのだなと感じます。(中にはしっかり付けてくださる方もいらっしゃいますが)

現在は新型コロナウイルスの問題でマスク着用必須。
以前はつけていないスタッフがほとんどでした。そんな中でマスクをつけていると「マスクなんてつけて、風邪でもひいたの?」と逆に不安にさせてしまう事態もあり‥

「風邪を引いてる、具合がわるいからマスクをつけている」→「うつされたら嫌だな」と感じてしまう利用者さんもいますよね。

時には喉が少しいがらっぽくなって「風邪でもうつしてしまったら大変!」と意識的にマスクをつけたとします。でも利用者さんを不安にさせないように「ちょっと花粉症で、、」なんて説明したり。こんな場面でも、在宅の現場では色々と気を使います。

フェイスシールド使ってるの見たことない(現在は手作りして常備してます)

フェイスシールド

病院では吸引の際に目を保護するゴーグルの役目も果たしてくれるフェイスシールドという使い捨ての防護具を必ず使用していました。現在は簡易的なもので一枚100円前後で手に入るようです。
キャン★ドゥやセリアなどの100均でも販売されています。

訪問看護に転職してから一回も使用しているところを見たことなかったです。
吸引の時も付けたとしてもマスクだけ。マスクさえしていないこともありました。
病院では考えられない…

現在は自作のフェイスシールドを常に持ち歩いて必要時着用できるようにしています。

吸引の刺激でせき込んでしまう方ももちろんいらっしゃいます。
私は今、飛沫のシャワーを浴びているんだわと思いながらも、あからさまに避けたり、ガードすることも家族を前にすると、なかなかできません。

まとめ

今回の内容は、あくまでも「私の勤務するステーションではこんな感じです」というお話ですので感染対策は事業所、スタッフ、訪問先によっても異なります。

「さまざまな状態の患者さんが入院治療している病院」と「在宅」では求められる感染対策のレベルが異なるのは当然。病院ではほかのスタッフの目があり、感染対策委員が常に目を光らせています。マスクの向きが逆になっていれば「ちがーう!」手指消毒を怠ったら「ちがーう!!」とすかさず飛んできて指導される姿をよく目にしたものです。

しかし、訪問看護は基本一人での訪問です。自分自身の感染対策が正しくできているかチェックするのは自分自身。

医療従事者と利用者さんやご家族と異なる感染対策の知識や意識の違いにギャップがあること、コスト面の問題で十分な感染対策ができないという在宅ならではの難しさもあり、悩むことも多いと思います。

看護を提供する場がかわっても、標準予防策をよく理解し、しっかり実践することが大切です。
自分の身を守るため、そして感染を広げないためにいつも心にとめておきたいですね。

ABOUT ME
komaten
看護師始めて、かれこれ10年。 今はゆったりと訪問看護やってます。