実際に働いている人に聞いてみたい!
でも訪問看護で働いてる知り合いがいない・・・
↑かつての私の悩みです。
私は現在、訪問看護師として働いています。
急性期病院に5年間勤めた後、今のステーションに転職して3年になります。
・自分が訪問看護師に向いているかチェックしておきたい
このような疑問を抱えている方!
これまでの経験を踏まえて、私が思う訪問看護師に向いている人について解説していきたいと思います。
訪問看護には向き不向きがある
訪問看護は確かに、向き不向きがはっきり分かれる分野だなというのは働いてみて実感しました。
人によって反応はさまざまです。
・話ばかりしていてつまらない。イメージと違った。
・移動が大変。病院の方がいろいろと気がラク。
・「これこそ、私がやりたかった看護だわ!」と訪問看護の面白さにハマる!
ぶっちゃけ、患者さんの役に立ちたいという気持ちがあれば、だれでも訪問看護できます!
ただ、向き不向きはあります。
転職した結果、「イメージと違った」ということのないように「訪問看護の実際」と「自分の性格や考え方」がマッチしているか確認しておくことが大切です。
訪問看護師のイメージ
ザ・訪問看護師のイメージ(私の勝手な)
・親しみやすい
・とにかく親身に話を聞く
・優しい、穏やか
・年配でベテラン看護師
・すべてを包み込んでくれるような包容力がある
・どんなことにも動じない
・家族、利用者から信頼されている
・問題解決能力が優れている
私はこんな感じイメージを持っていました。
ハードル高いですよね・・・。
「訪問看護というのは、病院で修業を積んだ看護師が集大成を発揮する職場なのだ!」
「最低で5年は病院で経験を積まなければ、通用しない」と思い込んでいました。
私が訪問看護に興味を持ったのは、育休復帰した看護師5年目。
ちょうど5年。
それでも、「まだ数年後でもいいか」と先延ばししようとする自分もいました。
だって、転職ってものすごくパワーがいるから。

かなり悩みましたが、家庭と両立するために 看護師5年目で転職することになりました。
「訪問看護ステーションを転職先に選んだのか」という話は、また別の機会に書きたいと思います。
訪問看護について調べた結果
訪問看護に興味を持った私が、考えたこと。
それは、「実際に働いている人の話が聞きたい!」ということ。
しかし、私の周りには訪問看護をやっている知り合いが一人もいませんでした。

しょうがないのでグーグル先生に質問しました。
「訪問看護つらい」 「訪問看護やりがい」 「訪問看護やめたい」
デメリットもしっかり知っておきたいという理由で、まだ初めてもいないのに「やめたい」というキーワードで検索してました(笑)

ネット上にはメリット、デメリットたくさんの意見がありました。
「訪問看護!それは私の天職!」みたいな人もいれば、「訪問看護なんて恐ろしいものやるもんじゃない」なんて書き込みなどさまざま。
調べれば調べるほど「一体どっちなのー!!」とわからなくなります。

そりゃそうですよね。
「何を求めて仕事をしているのか」によっても、訪問看護に対する意見は変わります。
結局のところ、
自分が「訪問看護やってみたいか?」どうかです。
不安は山ほどありましたが、
なんとなく自分に向いているかも?という感覚もあり、
いつかは訪問看護を「やってみたい」という気持ちはあったので、思い切って転職しました。
向いてないものを無理してやるのはしんどいです。
「向いているかも」と思ったけれど、実際にやってみたら「なんか違った」ということもよくあります。
その時は「違う分野を経験できてよかった」と考えて、また別の道を探せばいいと私は思います。
訪問看護師に向いている人とは?
訪問看護に向いている人の特徴=訪問看護に求められていること
と考えていいと思います。
・誰とでも気さくに話せる明るい人
・自分の頭で考えられる人
・優しく、忍耐強い人
・医療処置が苦手な人
1つずつ見ていきましょう!
社会常識があり、礼儀正しい人
基本的に、利用者さんの生活するご自宅が看護を提供する場であるという特徴から、病院より気を遣う場面が多いです。
自宅に他人が訪問してきた場合を想像してみましょう。
保険の相談員さんでもなんでもいいです。

その訪問者の立ち振る舞いがすごく気になりませんか?
・言葉遣い
・玄関での靴のそろえ方
・上着を脱ぐタイミング
・室内での立ち振る舞い
・時間を守っているか
ちょっと考えただけでも、たくさんのポイントがありますね。
病院勤務では経験しないような項目も含まれていて、初めは戸惑うかもしれません。
でも、基本をしっかり押さえていれば心配いりません。
そのほかにも、病院ではあまり経験しない名刺交換や電話応対の場面も多いです。

契約や初回訪問時には、利用者さんに名刺をお渡しし、担当者会議など多職種のスタッフが集まる場では、名刺交換が行われます。
病院でもPHSで医師に報告したり、
薬剤部に内線で確認をとるなど
院内で電話を使用することはあります。
ご家族に連絡を取ることもありますが、頻度はさほど多くありません。
訪問看護では病院と比べて、外部と連絡を取り合う手段で電話をよく使用します。
自分から電話をかける機会も多く、かかってくる電話への応対も多いです。
慣れるまでは電話に出るだけでも緊張します。
「え、えーと。・・・それはですね、少々お待ちくださいませー!」
勢いで電話に出たはいいけど、わからないことだらけで、いつも相手を待たせることになってしまったり。
例えば、社外の人に向けて社内の人を尊敬語で対応することNGですが、
「OO所長は、ただいま訪問にでていらっしゃいます。」
このような残念な対応をしてしまうこともありました。電話切った後に周りで聞いていたスタッフによく笑われてました(笑)
誰とでも気さくに話せる明るい人
病院ではいつも業務に追われて、患者さんと会話を楽しむという余裕がほとんどありませんでした。
それに比べ、訪問看護では会話の場面が多いです。
中には、一人暮らしで話し相手がおらず、おしゃべりを一番の楽しみにしている方もいます。
こんな風に言うとプレッシャーに感じてしまうかもしれませんが、
おしゃべりが上手である必要はありません。
- 利用者さんのお話を聞くのが好き
- 興味、関心をもって話が聞ける
- 親身になって話がきける
こんな姿勢で利用者さんと関われる看護師はとても信頼されます。
「話しているだけで気持ちが楽になる」「なんか安心する」と感じてもらえたら最高です。
明るい雰囲気=テンションが高いではありません。
空気を読んで、その場その場に適したトーンやスピードを選択できるといいですね。
自分の頭で考えられる人
訪問看護で不安なこと、
それは
・相談できるスタッフが周りにいない
・なにかあってもすぐに患者さんの元へ行けない
ということだと思います。
訪問は基本的に一人で行います。
携帯電話でスタッフに相談することはできますが、
その場にいるのは自分だけです。
利用者さんの状態や性格、介護力、次回の訪問予定日など、いろいろな要素を踏まえた上で、どのように対応するかを考える必要があります。
また、病院とは違ってナースコールですぐ駆けつけるということができません。
-
- 次の訪問日まで安全に過ごせるか
- どんな問題が発生しそうか
- どんなことに注意して過ごしてもらえばいいか
- どんな疑問点が出てきそうか
このようなことを常に考えています。
病院で仕事をしていた時と比べて、自分の頭で考えて決断する、行動する機会がとても多いです。
自分で考えることを苦痛に感じるか、逆に面白いと感じるか。
そこが向いている人、向いていない人の違いかもしれません。
忍耐強い人
病院でも思うようにいかないこと、たくさんありますよね。
病院内の出来事なら「入院中は病院の規則に従ってくださいね!」と患者さんに我慢して頂くことがほとんどです。
何度注意しても守れなければ、!!強制退院!!というケースもありますよね。
しかし、在宅では基本的にNGなことはありません。
利用者さんが自分のしたいように過ごしています。
病院で「お酒は控えましょう」と言われていても、家に帰ってくれば好きなだけ飲んでしまう。
別に症状がないから、、と薬を自己判断で調整してしまう。
こんな時、もちろん看護師の立場からアドバイスはしますが、強制力はありません。
「どのように話せばわかってもらえるだろう?」
「どうすれば状況がよくなるだろう、、、」
必死に考えてアプローチしますが、
・思い通りにいかない。
・話が通じない、わかってもらえない。
・継続ができない。
こういうことの繰り返しです。
それでも、諦めることなく、タイミングをかえ、手段をかえ、いろいろ試しているうちに効果が見られることもあります。
そんな、良い変化がみられたときは、非常にうれしいものです。
困難な場面でも、あきらめずに利用者さんやご家族と向き合っていける忍耐強さが訪問看護には求められます。
医療処置が苦手な人
病院では、「採血とか苦手なんでちょっと・・」なんて通用しないですよね。。
病院では採血、点滴などの医療処置が日常的に行われており、これができないと業務に支障をきたすなんてこともあります。
しかし、訪問看護ではそういった医療処置を行う機会は少ないので苦手でも大丈夫です。
私も、転職前は、「一人で訪問するわけだし、失敗しちゃったら変わってもらえる人がいない!」
「ルート確保とか、ばっちりじゃないとむしろ駄目じゃない!?」と思ってました。
しかし、そもそも機会が少ない。(もちろん、ないわけではないです)
不安だったら二人で訪問したり、うまくいかなければ、別のスタッフが後から駆け付けるなんてことも可能です。
どうしても避けたければ、そういった処置のない訪問先を担当することも可能です。
おわりに
転職前は訪問看護ってベテラン看護師しかできないんじゃないか?と思っていました。
でも、実際やってみて感じるのは、「看護師の仕事が好きという気持ちがある方なら、だれでも訪問看護にチャレンジできる」ということ。
患者さんとかかわるのが好き。患者さんの役に立ちたい。
そんな看護師さんなら、在宅で療養している利用者さん、ご家族の心強いパートナーとなれるはずです。
病院ではテキパキと効率よく業務をこなせるのがよい看護師となるかもしれませんが、
在宅では必ずしもそうではありません。
病院では患者さんの話を一生懸命聞くばかりに、仕事が遅い!と怒られて、「私って看護師に向いてないのかな?」と悩んでいる看護師さん。
あなたが看護師として輝ける場所は、病院ではないのかもしれません。
病院では絶対にできない看護が、訪問看護では経験できます。
興味があるなら、ぜひ一度チャレンジしてみてください!